日本国憲法(前文)
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
ブログの内容がどんどん堅くなってますが、せっかくなのでもっと堅い話題に触れてみます。日本国憲法を久しぶりに103条全文読んでみました。これはやはり世界にも例を見ない先進的な憲法ですね。内容も文章も現代で国家というものを世界の前提とするならばこれ以上はないというものです。国家権力の暴走を防ぎながら、今まで世界で国家や国民と言われてたものの別の捉え方をしている部分も持っています。戦後日本にいいところがあったのは憲法に守られていた上での人々の活動によるところも大きいでしょうね。特に素晴らしい前文を上に書き写してみました。
対して改正草案の前文は以下です。
改正草案(前文)
日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴いただく国家であって、
国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。
我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。
日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。
我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。
日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する
これはまずい。他も駄目ですが、前文だけでも全く駄目ですね。他の項や新設される緊急事態要項を合わせると戦前に逆戻りです。こんな改正案が万が一通ってしまうと、国民主権に反し、国家権力の増大を許してしまい、自由な空間を消し去ってしまいます。また破局的な戦争へ向かった反省や教訓もなくなり、再び戦時体制を作り、平和や健全な発展から遠のくことになってしまいます。
また例えばこの改正案では象徴である天皇が国民の上に来てしまい、三権分立と並んでしまっている。天皇陛下も三権も今は国民のもとにあるものです。
こう書くと、では不安定化してる国際情勢に向けた対案を出せとかいう反論がありがちですが、そんなものは必要ありません。駄目なものは駄目、素晴らしいものを変える必要はありません。よく考えてみてください、戦後に冷戦や朝鮮戦争やベトナム戦争があったときにはアジア情勢は今より不安定だったのですよ。現状に合わないどころか、むしろ日本国憲法は近年おかしくなってる日本が目指すべき未来の理想像になっています。憲法の理念に沿って安保と日米地位協定を廃止することもまた出来るでしょう。
中国は台湾に派兵などしないでしょうね、やれば経済が飛んでしまうのですから。ロシアやイスラエルとは立場が違う、人口も多く既に世界の大国です。指導者には孫氏より孔子を使って欲しいです。僕は老子や荘子が好みなのですが。憲法改正案は老荘的な生き方を許容しないものでもありますかね。
朝鮮民主主義人民共和国?放っておくかそこに住む人々の心配をしてあげましょう。人々が飢えているのに軍拡しか出来ない国家なのです。こんなジョークがあります。「またちょっと軍拡したいので実験ミサイル撃ってもらう注文出しといて。」
むしろ憲法改正で日本国家が朝鮮民主主義人民共和国のようになろうとしてると言えるかも知れません。既に報道の自由度では世界の中で70位になってしまってます。
戦後からの安保と日米地位協定があり、近年既に進んでいる軍備化の上に憲法改正ではさらに複雑で悲惨な状況を生んでしまいます。抑止力が戦争を防止するのではありません、軍備化、戦争経済、戦時体制、軍事協定、資本主義の行き詰まりが戦争を生むのです。
憲法第12条に遵って以上のブログを書いてみました。
憲法第12条
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。